おかかえ地蔵」といえば歴史民俗資料館の裏側奥にある地蔵尊(大名谷地蔵堂に併設)が一般的には知られているが、保存地区から少し外れた長生寺にも「おかかえ地蔵尊」が鎮座されている。
 これらの「持ち上げて抱えることで願いが叶えられる地蔵尊」の呼び名が微妙に異なることが興味深い。大名谷の地蔵尊は、路地入口の看板には「お抱え地蔵」、地蔵堂前には「かかえ地蔵」、地蔵堂内部には「地蔵菩薩尊」、観光情報誌等には「おかかえ地蔵」、郷土歴史資料には「抱地蔵」と書かれており、難儀なほどに統一性が無いようだ。そして長生寺の地蔵尊には「おかかえ地蔵」に「尊」が加わっている。

 長生寺の山門をくぐり、本堂を右手に奥まで進むとこの「おかかえ地蔵尊」のお堂がある。本地蔵尊へはミニ八十八ヶ所地蔵巡りの八十八番目を御参りした後に願い事を叶えるために立ち寄られているようだ。(2021/11/16撮影)
#01
 ここを訪れたのは今回が初めて。地蔵堂の扉は開けられており、中は座敷なので靴を脱いで入ってみた。
#02
 正面の地蔵尊が「おかかえ地蔵尊」のようだが、右側にも小さな地蔵尊が台座に座っている。もしかしたら子供でも持ち上げられるよう軽い「おかかえ地蔵尊」なのかもしれない。
#03
 大名谷の地蔵尊と同じ呪文?「御真言」(マントラ)、「おん・かかかび・さんまえい・そわか」が書かれている。
#04
 ここでの参拝の仕方が書かれた紙が貼られている。御真言に続けて願い事を唱えるのだろうか?
#08
 地蔵尊の脇から後ろに回って見ると台座が備えられている。(ナフコで買った我が家の玄関用と同じものだ)
#07
 台座に上がって地蔵尊の後ろから両手で抱え上げてみて「重さ」を実感してみる。ズッシリとかなりの重さ、10kg程度はありそうだ。
#05
 正面に戻って御真言と願い事を唱えたら・・・
#09
 もう一度、後ろに回ってみて再び地蔵尊を抱え、先程の「重さ」に比べ軽く感じられるかを確認する。
#06
・・・・・ん~軽くなったと言えば軽くなった。変わらないと言えば変わらないような・・。差は微妙過ぎて願い事は成就しない気がするが、更に重くはならなかった気はしたので「良し」としよう。
#10
 そもそも御真言「おん・かかかさんまえい・そわか」とはどんな意味なのだろうか?
地蔵菩薩の真言は「オン・カカカ・ビサンマエイ・ソワカ」であり、サンスクリット語では「oṃ ha ha ha vismaye svāhā(読み:オーン ハ ハ ハ ヴィスマイェー スヴァーハー)、その訳は「帰命したてまつる。ハ、ハ、ハ。希有なる者よ。スヴァーハー」。そしてその意味はこのサイトに詳しく書かれていた。
以下に転載すると・・・

  • 「オン」帰命(命も体も投げ出して従うこと)
  • 「カ カ カ」の「カ」は地蔵菩薩の種字といって、地蔵菩薩のすべて、姿や働きを一時で表したもので、これを3回唱えて呼びかけています
  • ビサンマエイ」は、ほめたたえること
  • 「ソワカ」は、そのようになる、成就すること
  • つまり、「地蔵菩薩様、地蔵菩薩様、地蔵菩薩様、あなたにすべてを投げ出して従い、讃え、願いを成就させます」という意味になります

 地蔵菩薩様への拝み方、先ず御真言「オン・カカカ・ビサンマエイ・ソワカ」を唱えることによって自分へ振り向いてもらい、その菩薩様の得意分野の願い事を叶えてもらえる(成就する)よう気持ちを込める。よって、お願いする地蔵尊の得意分野以外をいくらお願いしても成就(重さが軽くなった感じがする)しないことになる。