楠通の藤井酒造の近くにある仙場神社。その祠の右壁面に鎮座する地蔵様がある。愛読書『たけはらの神仏を訪ねて』(著:神野勝)によれば仙場神社については、この地域住民が五穀豊穣と生活の安定を願って昭和5年(1930年)に建立。祭礼は10月16日で最盛期には素人芝居が行われていたらしい。
 そしてこの「神社」の祠横側に小祠があるとの所見も書かれており、その小祠の俗称は「吊り棚地蔵」。掲載写真ではそれぞれの祠しか写されてはおらず、小祠については創建年や由緒については掲載なし。
 ある意味、神社の拝殿の壁に地蔵尊の祠がくっついている?という珍しい形態。どうしてもこれが気になって仕方なかったので「実物」を確かめに楠通を訪れてみた。(2022/05/22撮影)

 これが仙場神社。鳥居や狛犬&獅子などは無く、小さな拝殿とその奥の本殿が結合したスタイル。元々、この地域が通称「仙場(せんば)」と呼ばれていたことから「仙場神社」と名付けられたのであろう。祀られている御神体は「軻遇突智神(かぐつちのかみ)」で御利益は「家内安全」。
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 格子扉が開いて御神体が拝見できるのは祭礼時だけなのか・・・。
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 そして目的の「吊り棚地蔵」は?掲載写真から推測すれば、どうやらこれ(黄色矢印)らしい。
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 狭い路地に入ってみると、仙場神社の拝殿と本殿の接合部の波トタンに「吊り棚」として小祠が取り付けられていた。
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 小祠の中には一体の地蔵尊、真新しい生花が供えられており、「吊り棚地蔵」への信仰心の篤い地域住民がおられることが分った。もしかしたらこの狭い路地は私有地だったのかもしれない・・・。
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 仙場神社と吊り棚地蔵についての「由緒」などについて、古くから楠通に住まわれている知人に機会があれば訊いてみたい。何となくだが「そげ~な地蔵さんがあるん?ここは長が~けど知らんかった~」となりそうではあるが・・・。