旧笠井邸から増森邸がある田中地区へと曲がる角に、竹筒の一輪挿しが飾られた店舗がある。遠い昭和の記憶ではここはタバコ店だったと思うのだが、「時をかける少女」で怪しい時計店として登場した増森邸の印象があまりに強すぎて、これまでこの店舗へカメラを向けることは無かった。
 だが、半年ぐらい前に放送された地方テレビ局の番組で、近くの「風土」やこの店舗をレポーターが立ち寄った際に「折箱を扱ってます」と店主が対応されていたのを覚えていて、ふと目に留まったのが窓格子に飾られた多数の竹の一輪挿しだった。(2022/08/02撮影)
#01

 突き当りが「時かけ」に登場した増森邸。もう一度「時かけ」のDVDを再生して確認してみると、玄関ガラス戸に「時計修理 日之出堂」と書かれており、ガラス越しに青白い顔をした丸メガネの店主がニヤリと芳山和子へ笑い掛けるシーン。その和子の後ろに映っていた赤ポストがある店の軒下には日本専売公社の「たばこ」看板が吊るされていた。やはり、ここはたばこ店だったのだろうか?
#02

 これが竹筒の一輪挿しが飾られた窓格子である。玄関のガラス越しには多数のソーラーで首を振る招き猫や「たまゆら」の二頭身キャラ人形が飾られたショーケース。「折箱」を扱う店舗なのだが道端からは店内は確認できなかった。
#03

 「時かけ」で見えていた「たばこ」看板の場所にはタバコの自販機がある。やはり、昭和の時代はここはタバコ店であったに違いない。外観では店舗名は見当たらなかった。
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 「時かけ」では赤だったポストは銀色のステンレス製になっていた。そのポストに書かれていたのは「大植商店」のみ、「折箱」や「たばこ」については特に書かれてはいなかった。
 そして窓格子の貼り紙には「竹の花筒 ご希望の方お分けします お申し出ください 300円」と書かれており、町並み保存地区でよく見掛ける「竹の一輪挿し」がここで手に入れられることが分った。
#05

 帰宅して昭和時代の市街地図を確認するとここは「大植タバコ」となっており、平成時代(8年~14年頃)では「たばこ谷鶴」であった。やはり、記憶通りここは元タバコ店だったのである。この「竹の花筒」を買いに次回は「大植商店」を訪れてみたい。