竹原の製塩業の歴史著書である『塩が育んだ文化の町 竹原 増訂版』(著:竹原郷土文化研究会)を読んでいると、「竹原塩田事業者への聞き取り調査」の章に明神に鎮座する「湊神社」について興味深いことが書かれていた。
 
 これが明神の竹原市給食センター西隣りにある「湊神社」(2022/06/07撮影)
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 本書によれば、この神社は「湊明神」と書かれており、その内容を以下に転記する。
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 湊神社とも言い、塩田の守護神であった。今は海の方を向いているが、以前は東の方を向いていた。規模も大きく新浜の松林の所には灯籠が並び参道となっていた。職業訓練校の設置(現在は竹原市給食センター)によって大きく縮小され現在に至っている。(灯籠は、その後、礒宮へ移転され、現在は吉名の平方へ再び移転保管されている。)
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 また、写真資料の中に、湊神社とその移転後の灯籠が並ぶ写真が掲載されおり、キャプションには以下。
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 湊神社:今は海側を向いているが昔は境内も広く東側を向いていた【江戸期の石灯籠が10基置かれている】
 灯籠:この灯籠は新浜の海岸(湊神社の参道)にあったが、今は吉名町平方に移転・保管されている。
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 吉名町の平方?・・・では、そのような灯籠は見た覚えは無いが、吉名町小泊にある瀬戸内ゴルフリゾートの敷地下を貫く道を海側へ出た場所に、確か・・多数の灯籠が並ぶ空き地を見た覚えがあり、写真を撮ってはいなかったので、本日、改めて海側から訪れてみた。(2022/06/19撮影)

 場所は宗越の山陽煉瓦から竹原マリンへ出た場所を川沿いに右折。そこから瀬戸内ゴルフリゾート側への道に入ると灯籠群が見える。
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 近づくと、掲載されている写真に近い気がする。
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 写真には「売物件」の看板と柵は写っていなかったが、川沿いに並ぶ灯籠群の様子と一致した。
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 石灯籠の擬宝珠を数えてみると計20基。明神の湊神社に長い参道が在った頃は、左右に15基ずつ石灯籠が並んでいたのであろう。(30基のうち10基は現在の湊神社境内にあるとのこと)
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 この空地の「売物件」の看板だが、灯籠群の傍には鉄製の錆びた碇も置かれている。ここが売却されたら今度は何処へ移転されるのであろう。ここへ移転前の礒宮へ戻されるのか、それともここに今後も残されるのであろうか。