2019.11.16-2
賀茂川の河口東側にある遠浅の海岸である。ハチ岩海岸、ハチの干潟、ハチなど色々な呼び名があるが、竹原の昭和生まれなら大抵の人はここをズバリ「ハチ」と呼ぶだろう。私にとっては「干潟」や「潮干狩り」はなぜか心にときめかない。80年代まで「干潟」は聞いたことが無かったし、「潮干狩り」は「貝掘り」だったからであろう。「ハチ」は「貝掘り」の代名詞、年に一度は大潮の干潮時に家族で「ハチ」へ行っていた。
ここを掘るとミカンの網袋いっぱいにアサリが採れるのだが、最盛期だった頃は一定量以上採ると貝掘り代が取られていた。半養殖的にアサリの幼生が撒かれ育った海岸であり、管理人に見つからないよう集金される前に場所を変えていた者が多数、35円か135円だったと思う。幼生貝が撒かれなくなってからは徐々に衰退していった。その頃から満潮時には遠浅の砂が所々採取され、子供が腰までハマる危険な落とし穴も多かった。
ハチへのアクセスは容易ではない。大潮の干潮時でも賀茂川の岸伝いに砂浜まで行くには靴や裾が濡れてしまう。岸の岩から滑ろうものなら深い水中へドボンである。だが、もう一つ容易に訪れる手段がある。この「ハチ」と書かれた看板がある小路を辿って山を越えると砂浜へ到達できる。但し、途中の墓地などを我慢できればの話である。案内板があるぐらいなので安全なのだろうが、もっと楽にアクセスできていたなら、ドラマやアニメのロケハンにて撮影ポイントに採用決定されていたであろう。
ここを訪れたのは小学生時代以来から約半世紀後の2013年1月と12月末の2回。賀茂川の河口に架かる皆実橋からハチの砂浜とハチ岩が見えたので、思い切って山越えしてみた。嬉しいことに遠浅の砂浜がハチ岩付近まで続いていたので、そろり足で落とし穴を探りながらスニーカーが浸水寸前になるまで近くに寄ってみた。5m近くまで寄れたと思う。滞在は14:30~15:30、その時に撮った写真の中から8枚を紹介する。