7月19日、吉名の「ハンバーガー&タコライス O2」から戻る際に「賀茂の切り抜き」に架かる皆実橋を渡っていたところ、干潮時にハチの干潟へ行くことができる浅瀬を歩く人を初めて目撃。橋の下には子連れの家族もいる。丁度、大潮の干潮時だったようで賀茂川が干潟となっていたのである。とはいえハチへ行くには切り抜かれた岩肌伝いだけでは到底無理。危険な浅瀬を恐る恐る突き進む部分もかなりの距離が有る。一歩踏み外せば賀茂川の深みへ沈むし、浅瀬で滑れば得体のしれないもの引きずり込まれる。少々大袈裟だがそれが私の「ハチの干潟」の印象である。
 その浅瀬を歩く人を見てしまったことで冒険心に火が点いてしまった。車を土手へ停めて、岩肌をどこまで進めるか確かめてみることにした。
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 皆実橋から見ると普段よりかなりの浅瀬になっている。岩肌の勾配も急で20m程度の区間は浅瀬内を歩かなければ干潟へ到達できないことがわかる。
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 橋の脇から崖伝いに砂地へ下りてみると意外に固い。ズブズブ足が沈むかヌルッと滑りやすいかと思われたが、更に先へ進めそうだったので普段のシューズでどこまで行けるか挑戦してみた。だが、砂地を過ぎると泥地へと変わり崖面もズルズル滑ってまともには歩けそうもない。
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 ここから先は賀茂川へ滑り落ちること間違いなし。サンダル履きならば浅瀬を進めるのだが諦めてこき返すことにした。崖には防空壕の跡もあり、普段では眺められない皆実橋をハチ側から撮ることができた。
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 砂地には小さな穴が多数あり、片側のツメが大きいシオマネキが群生している。ハチの干潟へ行ければ他の水生生物もたくさん観ることができるのだが・・・。
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 ここで諦めるとまた大潮になるまでハチの干潟を訪れるチャンスはない。土手の車へ戻る最中にこの防災マップを見つけた。数年前に山越えしてハチの干潟を訪れたことを思い出した。賀茂の切り抜きの崖伝いをしなくても、今も山越えできる山道が通れれば行ける。だが、梅雨の真っ最中であり、仁賀の秘境のように木々が茂っていれば道さえもないことが考えられる。また、途中には墓地もあり別な意味でも危険な山道である。・・と考えながらも地図の(1)にある山越えの入口へと足が進んでいた。
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 そしてその嫌な予感は的中!歩ける部分は雨で湿ってズルズル。草木を掻き分けながら頂上まで到達すると暗闇には墓地が点在し、倒れた竹を除けたり足で踏みながらもなんとか海岸へ出ることができた。ここの藪へまた戻れるように砂浜へ目印の漂流物を置いておいた。
 この辺りは粗い石で歩き難い砂浜でハチの干潟はかなり先である。遠い向こうにはハチ岩も見えている。前回ここを訪れた時はハチ岩まで到達できなかったのだが、もしも可能ならハチ岩に上がってみたくなった。最後にハチ岩に上がったのは50年前かも。未だ潮干狩りで賑わっていた頃である。
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 どうやらハチ岩まで行けそうな感じである。浅瀬や干潟がズブズブと沈まなければであるが、恐る恐る歩いてみると5cm程度の沈み。歩きやすい所を探しながらハチ岩へと進む。橋から眺めた時に切り抜きを渡っていた人は見当たらず、この広大なハチの干潟にいるのは私ひとり。何だかスタートレックでの惑星に転送された時のシーンの様な期待と不安あふれる気分だった。そしてやっとハチ岩の手前に到達。
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 50年ぶりに再びハチ岩到達!ミカンが入っていた赤いネットとクワをもって「貝掘り」をした頃の懐かしい思い出がよみがえる。この先、ここを再び訪れることはもう無いだろう。ハチ岩に上って撮った写真がこれらである。
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 いつまでもここに居たかったが、潮が満ちてくる前に戻らないとマズイ。海上保安庁の監視船が来ると危険だと注意されそうだし、そろそろ目印を付けた所まで戻ることにしよう。
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 そしてこれが山越えの出口に置いた目印の竹。この藪に入るとすぐにケモノ道?となるのである。ここから先は両手が空かないと草木を掻き分けられないので写真はない。竹原舞台のアニメ「たまゆら」に登場するプチ秘境のひとつとして「ハチの干潟」ロケーション・ハンティング(現地調査)が行われたが、聖地巡礼ファンが朝日山のように気軽に訪れられる場所ではないことが分かって外された理由が、この賀茂の切り抜きの浅瀬渡りと山越えの怖さだったのである。
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